2011年6月14日火曜日

再:フィールド調査in SCB(1)

雨季で植物が茂っている季節にフィールドワークで出かけすぎて、ネタがだいぶ古くなってきてしまいました…季節が前後していますが、ご容赦ください。

さて、ガラパゴスの季節は、大きく分けて「雨季:1月~3月」と「ガルア(霧雨)季:6月~10月」の2つがあります。まるで通年雨が降っているように聞こえますが、全く違います。
雨季には気温が30度以上まで上がり、時々スコールが降ります。しかし普段は至って晴天で、暑い上に太陽がギラギラ照りつけ紫外線が強く、私のような特殊虚弱体質(体温調節が下手でしかも紫外線アレルギー)には致命的な天気が続きます。一方ガルア季は、高地で常に霧雨が降っており、低地でも気温は低く、特に朝は曇天です。

このような気候の変化は、主に季節風が影響しています。ガルア季には南東からの風が強く、島の南東側斜面を上がった水分が雲になって高地に霧雨をもたらします。雨季には南東からの風が弱まり、雲ができないため高地で乾燥し、一方低地では高温のため蒸発した水分が時々スコールとなるのです。
フロレアナ島低地(左:ガルア季、右:雨季)

もともとガラパゴス諸島は全島を通して降水量が極端に少ない地域です(プエルトアヨラで年降水量400㎜程度)。標高がそれほど高くないこと、赤道付近は基本的に風が弱いことが影響していると言えるでしょう。逆に同じ海洋島でも、年降水量が12000㎜を超えるハワイ諸島カウアイ島のような場所もあります(cf. 東京で約15001800㎜)。標高と季節風は、気候を決定する非常に重要な要素なのです。

…というわけで、実は前回(10月末)サンクリストバルへ行ったのはガルア季まっただ中、高地では霧がかかって視界5m、低地ではひどく乾燥して目的の植物が枯れ果てているという状況でした。季節は変わって今(3月半ば)は雨季。低地のサンプリングは今しかありません。まあ、他の回でもサンプリングに関しては散々書いているので割愛して、季節が違うと何がみられるのか?慣れてくると何が見えてくるのか?書きたいと思います。

ガルア季にも行った、ガラパゴス諸島唯一の淡水湖、El Junco。前回目の前にあるはずの水面すら見えないありさまだったのに、今回は一片の曇りなく全容を見ることができました。上空を飛び回るのはグンカンドリ。


実はここ、元は放牧がおこなわれていて、全く植生が禿げていた時代があるそうです。今もそのころの影響で、侵略的外来種ブラックベリーの姿がちらほら…でも固有種ミコニアを植栽することで、以前の風景が戻ってきています。

今回は看板だけでなく、風力発電の風車も。

先日書いたように、ガラパゴス諸島では現在化石燃料ゼロへ向けて各種取り組みが盛んです。人口が増え、観光客が増えて既存の電力供給が間に合わないことだけでなく、2001年に起きたサンクリストバル島沖のタンカー座礁事故を深刻に受け止め、自然エネルギーが着目されているのです。昨年、人口100人のフロレアナ島では、100%ソーラーエネルギーを達成しました。現在の目標jは2017年に化石燃料をゼロにすること。各国のODA、企業などがソーラーパネル、風力などに力を注いでいます。個人的には地熱が利用できたらいいのになぁと思うのですが、さすがにフェルナンディナで発電してもどうしようもないですもんねえ。残念。

ちょっと気になったのは、島の人は「上の方はいつも霧雨が降ってるよ」と言っており、季節によって変わる自分の島のことをちゃんと把握していない様子。まあ地元の人にしてみればわざわざ行くほどの観光地でもないので仕方ないのかもしれませんが…こういうとこに住んでいるならもうちょっと身近な自然を知ろうとしてもいいのではないかと思うのはお節介なのでしょうか。それが、この島を保全する環境教育の第一歩だと思うのですが。

つづく。

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