2010年9月26日日曜日

街での生活(1)

¡Hola!

みなさんは「ガラパゴス」についてどのような印象を持っているでしょうか。最近ではメディアの影響もあって、「貴重な生物がいるところ」というイメージが先行しています。私にとってもガラパゴスは、不思議な進化を遂げた生物と逢える場所、進化を生でみられる場所という意味で特殊な場所ではあるのですが、ここ数週間の生活で見た「日常生活としてのガラパゴス」を少し紹介したいと思います。

ガラパゴス諸島は13の代表的な島でなる諸島ですが、人が居住できるのはイサベラ島南部、サンタクルス島、サンクリストバル島、フロレアナ島の4か所のみです。私が滞在しているのは、人口約2万人のうちの約17000人が生活するサンタクルス島プエルトアヨラです。ここが諸島の中心地です。
観光で外貨は稼ぎやすいので物価は高め。でも途上国にしては治安が良くておおらかな人柄で安心して暮らせるところです。規制はありますが農業も漁業もやっています(この点でまた環境に関する諸問題が起きているわけですが、またの機会の話にします)。



家の近くのバレーコートで、毎週火曜日と土曜日の午前にマーケットが開かれます。プエルトアヨラの街(居住地域)のスーパーでは腐りかけの野菜や果物しか買うことができないので、このマーケットは非常に重要な食糧補給源になっています。野菜や畜産物は少し標高の高い街ベラヴィスタ(農業地域)から運ばれてきます。


プエルトというのは「港」という意味なのですが、その名の通りプエルトアヨラは港町です。夕方、漁師さんたちが水揚げしたての魚やLangosta(伊勢エビ)を並べます。カジキマグロなどの大きな魚はさばいて量り売り。伊勢エビは海産資源保護のため、漁をしていい時期、とっていい大きさなどが厳密に決められています。

でも魚を待っているのは人間だけではありません。ふと横を見ると…


こんな大きなカッショクペリカンが、漁師さんが投げてくれるおこぼれを待っています。漁師さんのすぐ横で手元を覗き込んだり…アシカも足元で昼寝していたり…グンカンドリが上空を旋回していたり…
地球はみんなのもの、なのですね。

後期の開始に伴って、生活の立ち上げを全面的にバックアップしてくれていた夫が帰国しました。Muchas gracias !

¡Chau!

2010年9月21日火曜日

ガラパゴス基礎知識その1:地理

¡Hola!
さて、毎日いろいろなことが起きるので事態を処理しきれていないためにブログも消化不良気味なわけですが、このままではいけないということで、はじめから始めたいと思います。

ガラパゴス諸島は、南米大陸から赤道をちょうど1000キロほど西にいった大洋の只中に浮かぶ13の代表的な島でなる諸島です。
a) ガラパゴス諸島の位置
b)ガラパゴス諸島の島々 

この諸島はナスカプレートの上のホットスポット(マグマが上昇して海底で火山を形成する場所)で形成された島々で、プレートの移動に伴って年間4㎝ほどの速さで南米大陸に向かって移動しています。

c)ガラパゴス近海におけるプレートの移動

最西端のイサベラ島、フェルナンディナ島では現在も噴火が起きて島を拡大しつつあります。一方で最東端のエスパニョラ島は約500万年前に形成され、今はどんどん風化が進んでいます。
過去に大陸とつながったことがなく、絶海の孤島であるこのような島のことを「海洋島」と呼んでいます。海洋島では生物がたどりつくチャンスがほとんどないため、非常に特徴的な生態系をもつことが多く報告されています。これが「進化」を議論する中でとても重要なポイントとなってくるのです。

さて、着いて早々からずっと寒いと言っていますが、ここは赤道直下。なぜ寒いのでしょうか。

d)海洋表面の温度分布

海の表面温度を見てみると、南米大陸の西側に沿って南極から寒流(ペルー海流)が北上しているのがわかります。この温度の低い海流が赤道のパナマ海流とぶつかることで向きを変え、赤道上を西に向かって流れているのを確認することができます。ガラパゴス諸島はこの冷たい海水の中にあるため、赤道直下であるにもかかわらず気温が低いのです。今日は最高気温が23度、最低気温は18度でした。(ありがたいことです。暑いとフィールドワークはキツイので…)

※図の引用元
a~c)ガラパゴス諸島に学ぶ生物の進化(web site)、独立行政法人科学技術振興機構、2008.
d) Galapagos, Tui de Roy(ed.), 2010.

次回ガラパゴス基礎知識その2では、ガラパゴスの環境についてお話ししたいと思います。

¡Chau!

2010年9月17日金曜日

昼下がり

Hola!
ガラパゴス諸島に関する地理や気候やその他いろいろと書くべきことがあるはずなのですが、それよりも毎日いろいろなことがありすぎて追いついていない状況です。
今日はコレ。


なんでもない船着き場に見えますよね。よく見ると…

ぺちゃっとなってるのはなんと、ウミイグアナ。草食の変温動物です。
午前中海にダイビングして海藻を食べ、冷えた体をこうやって温めているのです。それにしても、、、
お、こっちに気づきました。


ヨウガンカモメにつつかれても追い払うでもなく、ただひたすらおとなしいゴジラ、じゃなかったウミイグアナでした。
昼でも風が吹くと寒いので、私もああやってあったまろうかと本気で思った赤道直下の午後でした。

Chau

2010年9月14日火曜日

ガラパゴスのGalapago

日曜日に、ガラパゴス中学・高校に派遣されているJICAの柴田さんの案内で、ハイランド方面に連れていってもらいました。
村からちょっと入った草原地帯は野生のガラパゴ(スペイン語で”カメ”の意)が集まる場所。

さっそくご対面。
おお、でっかい。
お食事中ごめんなさいね~。

子どものころに日本のペットショップで飼われていたアルダブラゾウガメ(セイシェルに生息している巨大ゾウガメ)に乗ったことがあるのですが、同じ巨大ゾウガメでもやっぱり野生は佇まいが違います。
スカレシア(これも後日の話題に;)がまばらに生える開けた草原地帯に、こんもりとした甲羅がゆっくりと移動する風景は、彼らこそがまさにこの世界の王者というにふさわしい、荘厳で偉大な雰囲気を醸し出しています。

初めて見た人は、さぞかしびっくりしただろうなぁ。
ガラパゴスゾウガメは、南米大陸にいるチャコリクガメという”普通の”サイズのカメから派生したということが最近の研究でわかっています。どうやってここまできたのか、どうしてこんなに大きくなったのか、まだまだ謎に包まれています。

2010年9月12日日曜日

到着しました

ご心配をおかけしています。また激励のメール、ありがとうございました。無事にガラパゴスに到着しています。

ガラパゴスへは、成田からアトランタまで12時間半、そこからキトまで5時間半、さらにキトから2時間のフライトの果てにようやく到着する、まさに「裏側」というべき遠さでした。時差ボケと移動の疲れもさることながら、驚くことにこの赤道直下の島で、私は寒さに震えています。。。(後日のお話にします)

まあなにはともあれ、到着歓迎の笑顔を。

空港のあるバルトラ島から、対岸のサンタクルス島へ渡る船着き場で出会ったガラパゴスアシカです。取り囲む観光客に驚きもせずに日向ぼっこ。ここが生物の楽園であることをまず感じた出来事でした。

街に到着してすぐに、まずは招聘先であるチャールズ・ダーウィン研究所へ。


ここがしばらく私の棲み処になるところです。ずっとやり取りしていた事務の方としばし打ち合わせをして、今後のフィールドワークについて詰めていくことになりました。

…いやしかし。自分の語学センスのなさに愕然とします。一年いるうちにスペイン語ができるようになっているといいなぁ。

まだまだ障壁は多そうです。