2010年12月25日土曜日

¡ Feliz Navidad !

日本の商業主義なクリスマスには便乗しない主義なのですが、本場にいるときにはにわかクリスチャンに変身~。
ここはキリスト教の国なので、みんな派手に飾りつけてお祝いするので、いろいろなクリスマスグッズが手に入ります。
たくさん買い込んできてしまいました。

我が家もこの通り。
南国のクリスマス、いいですね。
いろいろデコレーションしてみると、気分も上々↑↑

よいクリスマスを…

2010年12月22日水曜日

カードブロック

先日、とある用事でカード決済の依頼をかけました。
しかし引き落とせなかったとのこと。まさか残高不足?と思って確認してもらっても、まったくそんなことはありません。

真相;
日本のカード会社または銀行は、セキュリティ上、南米からの引き落としをブロックすることがよくある。

え~~~そんなのきいてないよ~
しかもブロックの解除には本人の電話確認が必要、って、どうやって、何時に、どこへかけろと???(カードってかなり複雑ですよね。クレジット会社と発行者と銀行は全く別組織だし。時差はあるし国際電話だし……大変!

こちらへお越しの皆様、出発前に旅行期間中の南米からの引き落としにはブロック解除されていくことをおススメします

2010年12月18日土曜日

ラボ仕事

¡ Hola !

昔どこかで言われたある言葉
「フィールドばかりやってると馬鹿になる、実験ばっかりやってるとアホになる、論文ばかり読んでると○○になる(忘れた。論文ばかり読んでることなんてなかったので;)」
というわけで、今日はラボ仕事です。
正直言うと、ここでは私の仕事に必要な一連の実験はできません。最終的には日本に持ち帰って行う必要があるのですが、生のサンプルの持ち出しは絶対にできないので、とりあえずDNAの抽出をやってみようかと。

GNPからの委託業務で分子実験をやっているアルベルトに、このラボでの抽出過程(グアヤキル大学のプロトコルに従う)を教わります。自分が使っている方法とちょっと違いますが、普段やっている内容なので彼がほとんどスペイン語で説明してても大丈夫。

それにしても、結構いい備品をいっぱい持ってます。いいなぁ。。。

今日のサンプルは、さっきその辺でとってきた固有種Passiflora foetida var. galapagoensisと、先日とってきてしばらく置いていたPernettyaの2つです。さて、うまく抽出できるかな?
うーん、案の定、Pernettyaの方はイマイチですねえ
葉っぱが硬くて小さすぎるので、イヤな感じです。さて、どうしたものか。。。

アルベルトと議論して、とりあえず次回は試料の量を増やす、洗浄を繰り返す、エタノールの乾燥を早くする(これは関係ない気がする。。。それよりとにかく新鮮な試料を使う方が先だと思っている。)ことにしました。勝手が違うのでいろいろと不便ですが、抽出はできそうな気配です。

それにしても、普段私がやっているのと比べ物にならないほど、クリーンにこだわっていました。DNA抽出をクリーンベンチでやるのなんて見たことない(私だけ?)そもそもうちにはクリーンベンチがない(汗;)。

彼のようなこの島出身の技術者が、新しい技術を持って島に帰ってきて、立派にその技術を生かして生活しているってすごいことだと思います。高校ではかなり理科重視のカリキュラム構成になっているので、今後も島出身の研究者が誕生してくれるといいですね。

またお世話になりまーす。

¡ Chau !


PS.
自然観察指導員、環境カウンセラーなど自然関係の仕事をしており、自己研鑽&研究アシスタントとしてしばらく滞在していた母が帰国しました。フィールドでは私よりも「年の功」分以上にジェネエラルな知識が多く、多くの植物について教えてもらえたし、日常生活ではたとえば手に入るものでいかに工夫して毎日毎日食事を作るかとか小さなアイディアとか見習うことが多く、18で実家を出て以来の貴重な時間となりました。四半世紀前から「一生涯学習だ」と言っていた通り、いまだに健在のパワフルな行動力と底知れぬ学習意欲には頭が上がりません。
Muchas Gracias

2010年12月13日月曜日

テントウムシの話

¡ Hola !

突然ですが、オレンジといえば、サンタクルス島のオレンジの木はまっくろです。
外来のカイガラムシが住みついて蜜を分泌するのでこんなにすすけたようになってしまっているのです(でも完全無農薬栽培なので安心!)。

でもイサベラのオレンジの木はこんなにキレイ。
カイガラムシが少ないのです。

一般的なテントウムシはカイガラムシを捕食するのですが、ガラパゴス固有のテントウムシはしません。
星のない在来のテントウムシ。

カイガラムシが農作物にくっついて大陸から渡ってきたとき、そこは天敵のいない天国だったようです。しかしそのままでは農業に被害が出るばかりか、生態系をかく乱してしまいます。
そこで目を付けたのが、「外来の」テントウムシです。カイガラムシの天敵を放せば捕食してくれるだろうという考え方です(生物学的防除といいます)。
しかし当然そこには大きな問題があります。「外来の」テントウムシを輸入することで、さらに生態系がかく乱されたりはしないのかーーー

そこでテントウムシ導入のための壮大な実験が始まりました。在来のテントウムシとの競合はないのか、他の生物に対して影響はないのか、カイガラムシだけに効果があるのか……実に6年もの実験を経て、すべての条件をクリアしていることが確認でき、テントウムシの導入が決定されました。今ではせっせとカイガラムシを食べてくれています。
(またこのとき研究所だけではなく農業従事者にもこの取り組みに参加してもらうことで、いかに外来種が問題であるのかということ、きちんとした対策をとることで自分たちにも利益があるということを身をもって理解してもらえたようで、その後の外来種対策に重要な意味を持つ成果をあげることができました。)

このように、外来種対策はあらゆるマイナスの可能性を排除したうえで決定される、気の遠くなるような作業です。現在、侵略的外来種ブラックベリーを効率的に成長阻害する菌類の研究が行われており、もうすぐ実用化する見通しです。

ところで、イサベラ島のホテルで、中米在住で農業系の仕事をしている韓国人二人組に会いました。彼らは昆虫の研究をしているそうで、ガラパゴスの昆虫相にも関心を持っていました。対象が植物である私と、昆虫である彼らが、進化的観点で同じ発想を持っていることに驚き議論が弾んだのですが、昆虫は植物と同様に簡単に交雑するらしく、いわゆる「浸透性交雑(遺伝子汚染)」が起きているのではないか、形態的にハイブリッドのようなものがいた、と聞いてまたまた驚きました。

さて、テントウムシは交雑しないのか
科学とは本当に難しいもので、ある時点であらゆる観点から検討を行ったと思っていても、新たな解析技術や考え方ができた段階でそれは「完全」ではなくなってしまいます。しかし一旦野外に出て行った生物たちを回収することはできません。また「~である」ことを証明するのは簡単ですが、「~ではない」ことを証明するのは非常に難しい。あらゆる可能性をすべて否定したときにだけ「~ではない」ことが証明できるからです。

生物の研究に携わる者として、「改善」のつもりで行ったことが「改悪」になってしまうことの恐怖。よく環境問題について、「学者や政治家はそうなることは予想できたはずなのになんでそうしなかったんですか」という質問をもらうことがあります。ここで大きな声で言っておきたいのは、(少なくとも学者は)その時点では予測にしたがって良かれと思ってやっているということ。あとから非難するのは簡単ですが、その時点での最善を尽くしていても、違った結果をもたらしてしまうこともあるものなんです。アインシュタインの研究が原爆開発のきっかけになってしまったといわれていることと似ていますね。

というわけで、私の研究はどちらかというと政治・経済・社会的に影響力も持たない(はず)なので少しは気が楽ですが、それでもやはり今のベストを尽くしていきたいと思います。

¡ Chau !

2010年12月8日水曜日

フィールド調査in ISA(6)

-イサベラのおまけの話。-

(1)靴に付いたタネの話
ISA(1)に、厳重な検疫の話を書きました。実際にフィールドへ出ていると当然藪漕ぎをすることもあるので、服や靴に植物の種子がくっついてくることがよくあります。人による動物散布、これはかなり問題です。
ちょっと歩いただけでこんなに!ここでは小さな規模で住んでいる生物が変わるので、島の中であっても動物散布しないように注意が必要です。付いた種子は、せっせと取り除きましょう。当然サンタクルスへ帰るときにも、こういったものを持っていかないことは重要です。

(2)靴の重要性
ということで帰る前に靴の掃除は必須です。ブラシで土を払い、種子がくっついていないか点検します。さらに靴底の土の中に菌・細菌類や種子、昆虫の卵などがいたら困るので、溝の掃除を徹底して行います。
!!!みてください、厚いトレッキングシューズの底に、こんなものが!
昨日乾燥地帯を歩いた時に、乾燥適応して葉がとげ状になったものが生えていましたが、それを踏んで刺さっていたようです。びっくりです。
だから靴は重要なんですねえ。普段から何が落ちているか、何が起こるかわからない海外では街歩きの時にもサンダルなんて絶対にはかないのですが、今回のトゲには驚きました。もっと靴を大事にしなくては。ありがとう、靴!

(3)イグアナクロッシング
最終日、ホテルから街へ食事へ出かけたときのこと
目の前を、マリンイグアナが横断していきます。内陸方面にある湿地帯を目指しているようです。
ここでは、もちろん動物優先。動物をひいてしまったりしたらしょっぴかれます。道端を歩くアシカのために、警察官が出動して交通整理をすることもあるそうです。

イグアナも勝手を知っていて、車の音が聞こえると一目散に走り出します。そしてもう大丈夫なところで止まって一休み。
ちなみにこの「イグアナ横断路」に一番近いホテルの名前は「Iguana Crossingよくぞ名づけた。イグアナの横断がみられなかったら意味が分からないところでした。楽しかった~。

ISA採集記・完>

2010年12月4日土曜日

フィールド調査in ISA(5)

3日目は期待度大のシエラネグラ火山へ出かけます。
車に30分揺られて(というかシェイクされて)登山口につくと、観光用の馬が沢山いました。そうか、観光客は馬に乗ってカルデラまで上がるのね。。。

午前9時、カルデラへ向けて歩き始めます。初めは一気に上がり、カルデラへ到達したら火口の周りをぐるっと180度くらい歩く予定です。きついのは最初ののぼりだけ。農業地域は相変わらず湿っているのに、標高の高いここでは雲が切れ、暑くなってきました。
観光客グループもちらほら。そこのガイドがなんと日本語で話しかけてきました。
「噴火口は~すぐそこでぇ~す」
ほんとだ。
いい眺めです。火口はとても大きい。
…でも、なんか想定していた環境と違う。ここにはペルネチアはないと思う。。。

とりあえず火口をぐるっと回り始めると、おー、初めて出現したPhysalis(ホオズキの一種)がありました。でもまあこれは外来種。あまり喜べるものではありません。これと同じ属のPhysalis galapagoensisLC)を探しているのですが

それにしてもずーっとずーーーっと続く乾燥した道。まるで砂漠の砂のようです。乾燥適応でとげ状になった葉っぱが刺さって痛いです。。。
農業地域できれいに咲いていた植物も、きれいさっぱり枯れ果てています。同じ植物には見えませんね。

ほんのちょっと標高が違うだけでこんなに環境が違うとはそういえば今は乾季でした。サンタクルス島では常に湿潤環境なのですっかり忘れていました。これではアタリもつけようがありません。

ガラパゴス諸島では、人が入りやすい地域では標本もそれなりにとられているので情報があるのですが、そうではない場所の情報は欠落しています。来る前には「そういう場所にはまだまだ見つかってない何かがあるのではないか」と思っていました。そんなところを歩き回ったら、新種の宝庫なんじゃないの?うほほ
しかし自分で実際にやってみるとあまりにも広大すぎて、どうすることもできません。人が行くことができる地域ですら、これだけ苦戦しています。
そういう意味でガラパゴス研究の第一人者、長崎大学名誉教授伊藤先生は1964年から地道なフィールド調査を続け、各島の植生データをまとめ上げるという偉業を成し遂げています(長崎大学データベースhttp://op2.lb.nagasaki-u.ac.jp/galapagos/jp/about1.html)。本当に敬服します。

結局往復14キロ、高低差150mを一日かけて歩き通した成果は、外来種のPhysalis2個体だけ、というありさまでした。この島で一番重要なサンプルが得られなかったことになります。リベンジが必要です。でも今はそんなこと考える気力もありません。

いったいどうしたらよいのでしょう…
たまにはこんな日もあるさ、なんて簡単には言えない疲れ方でした。

つづく。

2010年11月30日火曜日

フィールド調査in ISA(4)

昨日取れなかった対象種を探しに、今日もまた農業地域へ出動です。
実はサンタクルス島でも一切見つからなかった種なので、アタリをつけようにも全く想像できません。私の感覚では類縁の日本にもある種と似た環境にあると想定しているのですが、もしかすると全く異なる場所に適応進化しているのかも知れない?

とりあえず当てのない旅に出ます。
こんなとこや

こんなとこも…
やっぱり見つかりません。似たようなものがあって、ぬか喜び。かえって疲れます。。。

あきらめていったんランチへ。
午後。今度は乾燥地域を探します。見渡す限りどこにもありません。
今日の収穫は、昨日数が不足していたフウセンカズラとペチュニアの数がそろったこと。

なんとなーくうまくいったような、いかなかったような。不完全燃焼です。しかもパーミッションの関係でほんのわずかな葉や花を持ち帰るだけ。なんだか採集した気にもなりません。

明日はいよいよシエラネグラ火山へペルネチアを探しに出かけます。ペルネチアは以前にも書いたように、サンタクルス島セロクロッカーと、ここイサベラ島シエラネグラにしかないのです。

はたしてうまく見つかるのかどうか。。。
つづく。

2010年11月26日金曜日

フィールド調査in ISA(3)

昼過ぎまで農業地域にいたので、午後は街から農業地域までの道沿いを散策です。道沿いの風景は、こんな感じ。

イサベラ島は諸島の中では比較的新しい島なので、このようにまだそれほど風化が進んでいないラバフィールドを見ることができます。こういったまだ一枚岩のようなところには、ハシラサボテンCommon nameCandelabro,”枝付き燭台”の意。よくぞ名づけた)。

もうちょっと風化が進んで他の植物も生えられるようになったところには、ウチワサボテンTuna gigante。名前の通り、大木です。

同じサボテンでも、ほんのちょっとした環境の違いですみ分けているのですね。

ここではちょっと乾燥が好きな種をアテにしているのですが、うーーーん。なかなか見つかりません。
やっと見つけたのは、わずか2個体のフウセンカズラ、それから午前中に見つけたPhoradendronは、こんな乾燥した場所にもあるようです。乾燥した場所では地衣類がつかないので、かなりキレイです。ちょっと意外な感じです。(この情報が、次に探すときの感覚として蓄積されるのです。)

ぶらぶら歩いていて、踏みそうになったとある植物。。

おおおおおーーーー!サンタクルス島であれだけ探してもなかった、海浜植物のガラパゴスペチュニア(Exedeconus miersiiLC))を発見。

小さくて、全体に生えた毛からべたべたの蜜を出しています。写真で見るよりもやわらかくてかわいらしい白いラッパ型の花。Common nameを「Trompeta de orilla(海辺のトランペット)」といいます。本物の方がかわいいなぁ。たった3個体ですが、とりあえず採集です。

そんなこんなでそれなりに満足して、第1日目は終了となったのでした。

つづく。

2010年11月22日月曜日

フィールド調査in ISA(2)

翌朝、さっそく植物探しに出かけます。対象種によって生育環境が異なるので、まずはサンタクルス島で得た情報からの感覚で「ありそうかなさそうか」アタリをつけます。(ここが最も重要)

今回は大きく分けて3つの地域に採集に出かけます。すなわち;árida(乾燥)、agrícola(農業地域)、そしてVolcán Sierra Negra(火山)。それぞれの場所でどれが取れそうなのか見極めて、それから具体的に行く場所を決めます。まずagrícolaが最も対象種が多そうなのでまずそこへ行くことにしました。やはりサンタクルスとは気候条件がちょっと違うので、みつかるまではただひたすら探すしかありません。


馬に先導され、窓の外の植物を見ながらひどいがたがた道を行くので、ムチ打ち状態です。目が慣れるまでは全く見つかりません。
そして行けども行けども風景は変わりません。「農業地域」をナメテマシタ。農業地域には村があって、野菜を作ったり酪農したりしているんだと思っていました。でも実際はただ広大な土地に、牛や馬が草を食んでいるだけ。。。ほとんどの農家は、街から必要なときに通っているだけのようです。迷子になったら遭難です。

ガイドはおやつにオレンジを調達してきました。

まあ褒められた行いでもないですし、そもそもフィールドワーク中に果物を食べてはいけない(タネを散布してしまうとか毒をもつものがあるなどの理由で)規定なので、その場ではすぐにしまいましたが、樹で完熟したオレンジって、香りは高いしものすごく甘くて、世の中にこんなにおいしいものがあったのかと感動を覚えるほどでした。日本では何でも手に入るけど、本当においしい状態で食べていないんだなあと改めて実感。もうしばらく日本でオレンジは食べられなそうです。

そうこうするうち、ようやくPassiflora1種を見つけ、歩いて採集です。すると続けてPhoradendronも発見。まずますです。
結局午前中いっぱいかかってこの2種を採取し、ランチに街まで下りでから午後の作業に入ります。
霧雨に濡れて、すっかり冷え切ってしまいました。

つづく。