2011年8月17日水曜日

フィールド調査in SAN(3)

午後。
もうちょっと北側のBucaneloに上陸します。ここはパティーからも難しいと聞いたけど、、、?でもWetなのにそんなに大変なのかなぁ?これまでのWetの経験では、岩場にDryよりもずっと簡単だったけど?
ノバリノを見ると、足元をWet用に準備するだけでなく、ありとあらゆる荷物全部を、検疫用のデカいビニル袋に詰めています。ん?何が起こるんですか、これから?…しょうがないので彼に倣って靴もカメラも、みんな詰め込みます(なので決死のランディングの様子は、記録に残りませんでした)。

そしてパンガへのり、いざ浜辺へ。遠浅なのか、真っ黒な砂が寄せたり返したりしている波打ち際までなかなか近づけません。どうするのかなあ、と思ったその時、
Ahora!
えええええっ?絶対どう見てもAhoraじゃないでしょ!と心の中で力いっぱい突っ込むも、ぐずぐずしているとみんなを巻き込んで大事故です。やぶれかぶれというのはああいうこと、後先考えずにとりあえずノバリノに続いて飛び降ります。みんなの荷物を、操縦しながら渡してくれるキャップから必死で受け取り…(なにしろ商売道具一式全部入ってるので浸水させるわけにいかない)、波にもまれる前に、そして乗ってきたパンガに轢かれる前に、大急ぎで陸に向かって走れ!

振り返ると、半分座礁してエンジンを砂から引き揚げながら、どうにか方向を変えて海に戻るパンガの姿が。

Oh~。。。
…これ、帰りもですよね。

ま、気を取り直して浜辺で靴を履き、荷物を担いで上がります。辺りは蜘蛛の巣だらけ、しかもこの糸がものすごい丈夫。
…日本の蜘蛛の糸では天国まで登れないけど、ここのなら登れるなぁ…(「蜘蛛の糸」芥川龍之介より妄想)
でもまあ、とてつもなく不快なので、ゴメンナサイといいながら棒を振り回して道を確保します。上空にはガラパゴスノスリが舞い、目の前にはガラパゴスフライキャッチャー。相変わらず無人島の小鳥は手に乗るくらいまで近くにやってきて、ほんとにかわいい。

ここではアデラがとてもお手柄でした。すでに全種類のサンプルが入手できないことをほぼ確信していた私は、やる気が70Off、それでも彼女は地味ぃ~に探して、地味ぃ~に見つけて地味ぃ~に教えてくれます。(帰ってサンプル処理をしているときに、さらに新たな発見があり、彼女のお手柄度はますますUp!)おかげで5角の固有Physalisも取れ、3時になったので撤収することにしました。…あのランディングの逆で。(マジ危ないあれは…)

波打ち際で方向転換する際にパンガが裏返し寸前になったり、キャップも含め全員が一度下りた状態でパンガが波で持っていかれたり、それを支えるロープを握っていた人たちが引きずられたり、パンガの底を踏み抜きそうになったり、パンガの中に満水になった海水を手で掻い出したりしながら(なぜ沈まないのだ…)、何も壊さずにフィブラまで戻ることができましたとさ。やれやれ…。

(イメージとしては、松島の松が、サボテンに置き換わった感じ)

さて、サンタクルスへ帰ります。しばらくは沿岸の風景を見ながら、そのうち塩水が飛んでくるようになったので、ちょっと休憩寝ようかな…と横になったとたん。
ドン!バン!ガタン!おお、船が飛んだり跳ねたりしてる。
そのうち時々エンジン音が消えるようになりました。エンジン音が消えるというのは、船が次の瞬間ジャンプすることを意味しています。ドカン!考えてみればここからサンタクルスへはずっと逆波。このまま着くまでこんな感じ?まさかな…うとうとしようにも、身体が宙に浮きます。したたかに打ち付けられたり、横Gまでかかるようになって…でも起きるもんか。起き上がった瞬間に酔うのはわかりきっている。そのまま3時間45分。これまでのスピードボート片道にかかる時間では最長記録。たぶんジャンプのひどさも最高記録。ようやくサンタクルスの港へ戻ってきました…体中妙に力が入っていて頭まで痛くなったけど、とりあえず生きててよかった。
翌朝、筋肉痛で階段が下りられなかったのは言うまでもない…

サンプリングの翌日は恒例、山のようなサンプルを前に悪戦苦闘するわけですが、毎度思い出すのは、やはりドクター時代にサンプルがいっぱい取れてゲッソリしている私に「商売繁盛、ええこっちゃ♪」といいながらにこやかにしているボスの顔…「ええこっちゃ」とつぶやきながら、今も変わらずやっております。あの日々があって、今の私がある。いまさらですがこの場を借りて、瀬戸口先生(@京都大学)、ほんとにありがとうございましたm(_ _)m

<サンチャゴ採集記・完>

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