2011年8月27日土曜日

再・フィールド調査in ISA(2)

朝食をとり、出かける段になって、私はどうしても彼らを信用することができませんでした。もう1種5角形の小型のホオズキをノバリノがきちんと認識していないことが分かっていた上に、昨日のSNでのサンプリングの様子、気にしないふりをしてましたがこれまでの一連の様子から信用が落ちたというか…。仕事面でというより、もっと根本的な人間性の部分で…これまで気持ちよく仕事が遂行できればそれだけで構わないと我慢してきたわけですが、馬鹿にすんのもいい加減にしとけよ、とまで思い始めるともう修復は困難なわけで…。

とにかく彼が言うことを信用できず、標本に記載されていたポイントへまず行ってみることにします。しかし標本にあったGPSデータを頼りに行ってみても、そこにはただ広大なLava fieldが広がるだけ。どうにか1個体だけ、目当てのものを見つけることができました。
GPSデータで示されている場所。植物の影もない。。。

昼ごはんを食べて午後、街から歩いていける海岸近くまで探しに行きます。途中、短距離でガラッと植生の代わる散策路を通り、ゾウガメブリーディングセンターに到着。そのセンターの駐車場入り口、花壇が手入れされているその脇を見ると…

今日抜いたと思われる、大量のホオズキが!!!こんなところに居たのね!
しかも、よく見ると2種類の種が混生。、、、慌てて拾い集めます。というか、これ固有種ですよー。Native gardenのために固有種抜いちゃだめですよー。

これにてサンプリング終了、持ち出しのための処理をして、翌朝5時半、サンタクルスへ帰還しました。そして最後に、彼は規定の3.2倍の法外なガイド料を吹っかけてきやがりました。(ああすみません、言葉遣いが。)もちろんダーウィン研には苦情を言い、申し送りになったようですが。
¡Nada más!
(この言葉はホント使える。「no more」の意ですが、悪い気分を変えたいときにはこう言ってすべて忘れることにしています。)

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こうしてほぼすべてのサンプルを無事に見つけることができ、一応離島へのサンプリングはこれで終わりということになりました。
小さな無人島へは行ってないけれども、余暇で行ったクルーズも含めればガラパゴス諸島のほぼ全域を網羅しました。一番好きな島はどこ?と聞かれたら、たぶんピンタだろうなあ。あの絶海の美しい円錐形の孤島、特段目立った生物がいない静かな島。珍しい動物を効率的にみるためにクルーズで行ける島とは違う、落ち着きがありました。
あとは行けるならイサベラの北部、行きたいのはやまやまだけどちょっとやそっとでは実行できないフェルナンディナ(観光用ポイントではない場所)、そしてたぶん絶対無理だけどものすごい離れ小島のウォルフ・ダーウィン島にチャンスがあれば行ってみたい(現実的ではない…)。

何はともあれ、無事にフィールド調査を終えることができて、本当に良かったです。
地球の裏側、南米、途上国、治安、衛生、交通、過酷なフィールド…さまざまな要因があって、実は日本を離れる前に無事に帰れないかもしれない覚悟を少しはしていました(保険もかけ替えたし)。でも身辺整理までできていなかったのです。否、あえてしなかったのかもしれません。
ずいぶん昔、友人に「旅行に行くときには無事に帰ってこられるように飲みかけのお茶を残していく」というゲン担ぎを教えてもらい、一度飲みかけの紅茶を残して出かけたことがあるのですが、帰ってきてカビが浮いてたのでそれっきりやめました。別の走り屋の友人は「今日はなんかヤな予感がする」というときには、部屋をきれいに片づけてから走りに行くと話していたことがありました。なので今回は「身辺整理をしないこと」というゲン担ぎを無意識にやっていたのでしょう。あんなガラクタ、残されたら迷惑ですからねぇ(--;)…帰ったら片付けまーす。

私の「お守り」たち。くださった方の気持ちが私を守ってくれたはず。そして溶岩で傷だらけになった指輪、磨きに出さなくちゃ。

感謝すべき神様を持たないので、この世の万物に、フィールドでの無事を感謝します。

<イサベラ採集記・完>

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