2010年12月4日土曜日

フィールド調査in ISA(5)

3日目は期待度大のシエラネグラ火山へ出かけます。
車に30分揺られて(というかシェイクされて)登山口につくと、観光用の馬が沢山いました。そうか、観光客は馬に乗ってカルデラまで上がるのね。。。

午前9時、カルデラへ向けて歩き始めます。初めは一気に上がり、カルデラへ到達したら火口の周りをぐるっと180度くらい歩く予定です。きついのは最初ののぼりだけ。農業地域は相変わらず湿っているのに、標高の高いここでは雲が切れ、暑くなってきました。
観光客グループもちらほら。そこのガイドがなんと日本語で話しかけてきました。
「噴火口は~すぐそこでぇ~す」
ほんとだ。
いい眺めです。火口はとても大きい。
…でも、なんか想定していた環境と違う。ここにはペルネチアはないと思う。。。

とりあえず火口をぐるっと回り始めると、おー、初めて出現したPhysalis(ホオズキの一種)がありました。でもまあこれは外来種。あまり喜べるものではありません。これと同じ属のPhysalis galapagoensisLC)を探しているのですが

それにしてもずーっとずーーーっと続く乾燥した道。まるで砂漠の砂のようです。乾燥適応でとげ状になった葉っぱが刺さって痛いです。。。
農業地域できれいに咲いていた植物も、きれいさっぱり枯れ果てています。同じ植物には見えませんね。

ほんのちょっと標高が違うだけでこんなに環境が違うとはそういえば今は乾季でした。サンタクルス島では常に湿潤環境なのですっかり忘れていました。これではアタリもつけようがありません。

ガラパゴス諸島では、人が入りやすい地域では標本もそれなりにとられているので情報があるのですが、そうではない場所の情報は欠落しています。来る前には「そういう場所にはまだまだ見つかってない何かがあるのではないか」と思っていました。そんなところを歩き回ったら、新種の宝庫なんじゃないの?うほほ
しかし自分で実際にやってみるとあまりにも広大すぎて、どうすることもできません。人が行くことができる地域ですら、これだけ苦戦しています。
そういう意味でガラパゴス研究の第一人者、長崎大学名誉教授伊藤先生は1964年から地道なフィールド調査を続け、各島の植生データをまとめ上げるという偉業を成し遂げています(長崎大学データベースhttp://op2.lb.nagasaki-u.ac.jp/galapagos/jp/about1.html)。本当に敬服します。

結局往復14キロ、高低差150mを一日かけて歩き通した成果は、外来種のPhysalis2個体だけ、というありさまでした。この島で一番重要なサンプルが得られなかったことになります。リベンジが必要です。でも今はそんなこと考える気力もありません。

いったいどうしたらよいのでしょう…
たまにはこんな日もあるさ、なんて簡単には言えない疲れ方でした。

つづく。

2 件のコメント:

  1. こんにちは。カメことM.Tです。頑張っているようですね。
    着任直後の最初の巨大なゾウガメには親近感が沸いてしまいました・・会ってみたいなぁ。

    年末はパタゴニアまで出向く予定です

    では、また来ますね

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  2. お久しぶりです。
    今度はパタゴニアですか~!

    ガラパゴスペンギンの祖先は、パタゴニア地方からフンボルト海流に乗ってガラパゴスまでやってきたはず…かわいかったです。氷河もすごいんでしょうね。

    じゃ、来年のGWはガラパゴスへどうぞ!
    カメの隣にゾウガメ…いい写真になりそうです。

    またお話聞かせてくださいね~

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