2011年8月24日水曜日

再・フィールド調査in ISA(1)

いやー、今回もキツかったなーーー。。。
ほんとは毎度思っているのですが、過去になると、また文書を推敲しているうちに素晴らしい思い出だけで埋め尽くされていき、結局ブログに上がることのほとんどない「キツカッタ」の文字。それにこんなチャンスは一生に一度あるかないか、なんにせよ貴重であることに変わりはないので最終的には「素晴らしい」に行きつくわけですが、でも最後のフィールドワーク、1つくらい言ってもバチは当たらないよね。

今回は、再度のイサベラ。ほとんどのサンプルは入手済みだったので、目的は明確です。シエラネグラ火山の南斜面にあるPernettyaと、東側にあるはずのホオズキ4種がほしい。でも何しろ火口が広いので、片道約10キロを1日で行けるのかどうか…無謀とは知りつつ、ノバリノが2時間で行けるよ(絶対嘘)というので、1日の行程で出発しました。

標高1000mの登山口nに着いた時にはよく晴れて暑く雨の心配はありませんでした。まずは南斜面のPernettyaを目指して歩きます。しばらくすると、10月に行ったときには探せなかった、サンタクルスではたった8個体しか見つけられなかった幻のPernettyaが、斜面が赤く染まるほどに実をつけているところを発見。

Muy bien!赤いじゅうたんに突っ伏したくなるほどです。(でも葉っぱが痛い)

さて、いったん引き返して今度は東斜面へ向かう途中で、山裾から上がってきた雲から雨が落ちてきました。まあ雨季なので少々の雨は覚悟済みだったのですが、こりゃ覚悟を超えるなぁ…。

雨が降ってきたとき、その中で仕事をしなくてはならないとき、段階に応じていろいろ思うことがあります。
まずは雨に濡れないように最善の策をとる。
ちょっと強くなってきたら、できるだけ濡れないように努力する。
もっと強くなったら、濡らしてはいけないものを優先的に、とにかくがんばる。
それでもだめなら、諦める。
さらにそれを超えると、怒りが湧いてくる、楽しくなってくる、最後に限界だと思う。

…今回の雨は、最後の段階まで行きました。
こんなに濡れたのは、生涯初めてかもしれない…

東側は前回10月の調査でも歩き、そのころはカラッカラに乾燥して、自分が蹴った地面からの砂ぼこりで息もできず前も見えず散々だった場所です。片道7キロあるので、この時間からじゃ最終目的地までは無理だなと思いながらのスタート。ノバリノとアデラは雨具を持っておらず(つーかなんでフィールド行くのにそんな基本的なことができてないんですか…)二人で1枚のごみ袋を傘にして、前を歩きます。それにしても乾季にあれだけもうもうとなっていた砂は、いったいどこへ流れていったのでしょう。道中、川、いや滝のようです。

しばらく黙々と歩くと、ホオズキが見えてきました。よし、もうここで採って帰ろう。と思い彼らに声をかけるも、雨音で、二人羽織で前を歩く彼らに声が届きません。彼らはサンプルを探すことなど既に忘れて、ただひたすら前に進むことだけしか見えていないようです。ついてきてなければそのうち気づくかなと思い、一人でサンプリングを開始。それにしてもひどすぎる雨で、写真もGPSも、荷物の中から鋏を出すことすら諦めて、ただ後で処理できるように大ぶりな枝を1個体1本むしりとる。あんなに雑なサンプリングも生涯初です。

そして無理矢理サンプリングを終わらせても、彼らは一向に気づく気配もなく、姿は見えません。仕方ないので追いかけることにします(だから同行者に注意を払うのはフィールドの基本…ブツブツ)。

今度はすぐ真横で雷が鳴りだしました。一瞬だけ、濡れるのと落ちるのとどっちがいいだろう?と考えたのですが、これは迷う余地ないですね。もう一眼レフさえ壊れるの覚悟で傘をたたみました。肩をたたく雨の音がやけに大きく聞こえます。カッパを着ていても荷物優先だし、もう濡れているので寒くて思考がコワレ気味になります。もちろん足元はとっくの昔に浸水し、トレッキングシューズは中に水を入れて歩いているような状態になっています。滝のような道で、深みにはまっても気にしてる余裕なんてありません。
「雨あめ降れふれ母さんが~♪…蛇の目もさせない、うれしくない!」「♪ぴちぴちちゃぷちゃぷ、いやジャブジャブやん!」(この辺りが「楽しくなってきた」段階)

ようやく私がいないことに気づいた二人が途中で止まっているところへ追いつき、半ばキレ気味に「見つかったから帰るよ!」といったその時…ほんのほんの一瞬だけ雨がやみ、シエラネグラのクレーターを拝むこともできました。地熱が高いところが濡れたので、湯気が上がっています。これがこの1日のご褒美かなぁ?

そして再び降り出す豪雨の中、来た道を引き返し、無事に登山口までたどり着きました。途中でアホな思考すら停止する(=限界の状態)までに陥り、自分をlostしないためにただひたすら歩数を数えながらの、長く寒い道のりでした。(ほんとによく覚えていない)
登山口で迎えが来るのを待っている間も、濡れて吹きさらしの状態で、しかも標高も高いので寒くて死にそう。帰りの未舗装道路は滝のように流れる雨水で削られ、掴まっていても天井で頭を打つくらい。でもそれを防ぐほど、気力も体力も残っていない状態…こうしてフィールド屋は、ますますパワーアップしていくのです。
…フィールド系の研究がやりたい学生さん、心の準備はいいですか?(笑)

明日は海沿いのフィールド予定なのですが、靴など装備一式、とても乾くとは思えない…

つづく。

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