2011年2月28日月曜日

フィールド調査in FLO(3)

8時の約束が、マイラは20分も前に来てくれて、慌てて出かけます。
ん?今日は街の近辺に行くのでしょうか?まずは彼女の仕事場、Vivero(圃場)を見に行きます。彼女はCDFのNative garden project(在来種の苗を育てて庭を創る;言い換えると、自分の庭から外来種を追放しようというプロジェクト)のスタッフです。いろいろな固有種の苗が並んでいます…
今日明日の細かい確認をします。今日は街の近辺、昨日ふらふらと済んでいるので一つだけ見つけられなかったものを指します。すると「あー、それ。その辺にたくさんあるよ(もちろんスペイン語のみ)」といって、海軍基地の裏手側に連れて行ってくれました。

あれ、ほんとだ。
昨日も近くを通りかかったのですが、さすがに海軍基地に入っていく勇気がなくて見つからなかったんですね。しかもこれまで見たどの島のものよりも青々とよく茂っています。きれいだなぁ。文字通り、trompeta de orijja

あっさり今日の仕事が終わってしまったので、学校に作っているNative gardenを見学、さらに彼女の案内で、LecocirpusScalesiaの自生地へ足を延ばします。

あれー、こんなにガラガラの場所で集団で生えているのね。他の植物が一切枯れていてまるでセピアの写真にみえるけど、カラーですよ。植栽のものを見るのとはやはりちょっと違っていて、自生集団を見て初めて、その植物が「生きてる」生身の植物であることを実感できる気がします。

おまけに

海辺にはたくさんのウニが。なんかきれいなので並べてみました。抹茶色のウニは、固有種なんだそうです。
こういったいろいろなものに目が向けられるほど、採集日程に余裕があるのは本当に望ましい。昼前には引き上げて、明日への体力を温存します。

ちなみに街はあるのか?と思ってぶらぶら散策してみましたが、一本道の両側にぼちぼち、たぶん20件くらい家があり、2件のお店があるだけでした。そして夕方から夜12時くらいまでだけ発電しています。これで生活できるんだから、普段いかに無駄な暮らしをしているのか実感しますね。100人の村、なかなかいい雰囲気です。

2011年2月23日水曜日

フィールド調査in FLO(2)

数日前から季節が明らかに変わってきているのを感じていたのですが、案の定起きると朝っぱらから激しく照りつける太陽…今までと同じ装備では暑くて熱射病になりそうです。さて、どうしたものか…

デイリーツアーのボートに便乗して、朝8時半出発。今回はこれまでで一番楽な船です。居眠りができるほどです。ああよかった。2時間ほどでフロレアナ島につきました…が、いつもの小型モーターボートすら、フロレアナの港にはつけないようで、沖合でパンガにのりかえ、生活物資&発電用燃料と共にようやくフロレアナ島へ上陸…ただただ枯れ果てた砂ぼこりの道に途方に暮れる…

すぐにホテルにつきました。一軒家のルームシェアのような新築の建物。空も海も青く、フィンチが足元に寄ってきます。なんと平和なところなのでしょう。同じ人生なら、ここの方が長生きできそうだ。
人口100人という感覚がイマイチつかめないまま、ホテルで昼ごはんも晩御飯もつけてくれるというのでお願いし(これで食いっぱぐれることはなくなった)、しばらくボーっとします。静か。ただひたすら波の音しかしません。そして強烈な日差し。外にいたらあっという間に日射病熱射病です。じっとしてても喉が渇きます。
昼食前にCDFMayra3名が都合を聞きに来てくれ、明日の時間を約束します。…どうにかなるでしょう。

昼ご飯を食べて一休みして(まだ風邪が完治してないので、とにかくすぐに疲れる)、3時半過ぎ、まだまだ強烈な太陽のもと、外へ散策に出かけます。街の近くでも採取できるものはさっさとやってしまった方が後が楽です。
それにしても、、、枯れ果てて枯れ果ててどうしようもありません。こんなに枯れている状態は見たことがない。SCBよりももっとすごい乾燥です。
浜沿いに歩いてみてもありそうなペチュニアはなく、枯れ果てた道をLoberiaとかかれた看板にしたがって岬の方向へあるいていこうとしたその時、、、
あ、Physalisだ。5-angleだ。
SCBで見たのと同じホオズキです。やっぱり枯れています。
SCBでの経験のおかげで、Physalisがこういった場所にあることはようやく感覚としてつかめてきました。しかもどうせ今の時期は枯れていると納得したことで、「どうしても見つけなければ、採集しなければ」という強迫観念もなくなり、なんだか気が楽です。そのままずんずん進んでいくと、Physalisがちらほら出てきました。相変わらず枯れているので、素通りしようとしたとき、あれ?なんか…
おーーー。これ、10-angleだあ!
違い、わかりますか?
Physalis galapagensisendemic)は、果実の陵が5つです。一方でPhysalis angulatanative)は10なんです。図鑑にも書いてあったし、標本庫でつぶれた標本を見たけれど、ははー、こういうことなのね、5-angle10angleって。。。ようやく納得。
ふと横を見ると、あれ?これは…
?明らかに小さいし、毛むくじゃら、…ぽい?
こ、これは、Physalis pubescensnative)ですな?(確信が持てない)
またも初めて見るホオズキです。学名にも「毛むくじゃら」がつくのですが、枯れているので確信が持てません。5-angleなのはgalapagensisと一緒なので、それの小さいのなのか?いや、でも、、、まあ帰ってから葉っぱを水で戻してみてみよう♪
すごい、1つの場所で3つのホオズキがみられた。しかもそのうちの2つは初めて見るもの。大収穫です。

そうこうしてLoberiaの岬の突端まで行き、海にできた太陽の道を拝んで、P.foetidaを採集しつつホテルへ帰りました。

明日はどれほど採れるのでしょうか?枯れ果ててないといいなぁ。
つづく、、、

2011年2月17日木曜日

フィールド調査in FLO(1)

―ネタを消化しきれていなくて、少々前のお話。今日からはフロレアナ島への採集記ですー

まずは恒例、出発準備のごたごた。
実は出発前に風邪をこじらせ、38度の熱を出した私…
こんなにひどい状態で長引いたのは実に7年ぶり、かといって公園に申請を出しているのでそうそう日程を変更するわけにもいかず、でも体調がすぐれない中出かけても意味がないどころか危険が増すということも重々承知。さてどうしたものか…
とりあえず手配のためにダーウィン研に向かいます。そこで知った衝撃のできごと。

驚くなかれ、この世にまだ「電話線が一週間死んでいても直らないし誰も困らない」島が存在するのだよ~~~

ダーウィン研事務方のソニアの話によれば、今週ずっとホテルのリザベーションのために電話をかけてるのだけれど、まったくつながらない。どうも島への電話線が死んでいるらしい(ほんとにphone linedeadって表現するのね)、たぶんホテルは空きがあるとは思うけど、わかんない、って・・・!

えーーーー。

どうしろと?

そういうとこへ行くのか、私は。
フロレアナ島は人口100名。不便だということくらいはわかっていたけれども、かえって無人島よりタチが悪いと思うのは私だけだろうか。。。

で、心当たりあちこちにかけてくれたおかげで一応ホテルはおさえられた模様。ついたらドックに誰々さんが迎えに来てるから、と。あーよかった。じゃあアシスタントのマイラは来てくれるの?って聞いたら、「電話ないからわかんない」…そりゃそうだ。そのあとがすごい。「どうせ島は小さいから、誰かに聞けば連れて来てくれるよ」…うーん、確かにね~。

この感覚、すごいですね。
なんか、人生に疲れたらフロレアナへどうぞ、ってかんじ…。

フロレアナへはパブリックボートはなく、ツーリストボートに空きがあると載せてもらえるという曖昧な移動方法しかありません。出発2日前に自分でチケットの手配をしなくてはなりません。帰りも、「帰る二日前に、現地で」手配しなくてはならないので、運が悪いと島流しになってしまいます…
が、出入りのエージェントではちゃんと帰りの分も手配してくれたので一安心。
ここではふつーにタトゥーが入っている人が沢山いるのですが、彼はなかなか粋なことに、両腕に若いころのダーウィンと年取ってからのダーウィンが。カッコええ…。

あとは出発を待つのみです。はたしてどうなることやら。。。

2011年2月12日土曜日

最近ハマっているモノ…

その1)
メレンゲです。パン屋さんで、卵白が余ると作っているらしい。甘くて軽くて、疲れた精神と体にはいいおやつです。

先日、サンクリストバルでの調査の時に、ふらっと入ったパン屋でもメレンゲを発見。早速購入です。
お~~~!でかいっ!こんなの一人で食べてたらおデブ街道まっしぐらです。でも、ついむしゃむしゃ。
ちなみに小さいのが110セント、大きいのが50セントでした。店によってもずいぶん違っておもしろい。
ごちそうさま~

その2)
やはり先日のサンクリストバル行きで出会った、「Café con Leche」です。
食後にはどうしてもおいしいコーヒーがほしい私ですが、こういったところでは高いお店でしかまともなコーヒーは出てこない…と思っていました。ぬるかったり…ただのインスタントを溶かして来たり…
ある日、あまり期待しないで「Café con Leche(ミルク入りコーヒー)」を頼んでみると、案の定インスタントの瓶を持って店の人は現れました。ああ、やっぱりか……と思ってカップに手を伸ばすと、なんとカップの中にはあっつあつのミルクが入っているではないですか!

そこにインスタントの粉と、砂糖を入れて飲め、と。
これがもう大ヒット。それからは家でもこの飲み方で飲んでいます。

でもね。
これは「Café con Leche」ではなく、「Leche con Café(コーヒー入りミルク)」だよね。

2011年2月7日月曜日

フィールド調査in SCB(7)

おまけの話。
帰りーまたも苦手な船の移動、今度は船尾の屋外に陣取ります。風で体温を奪われて一気に調子を崩すので、カッパが必須です。

実は、私のレインコートは既に13年物。大学の野外実習の時に買って以来、数々の困難をともにしてきました。
櫛形山、千丈岳、北アルプス、冬の丹沢山系…(学生実習)、スコールに打たれてからが仕事だったボルネオ(水文学を専攻していた頃)、ボルネオボルネオ…(何回かはわからない)、ニューカレドニアニューカレドニア…(同上)、中国もフィリピンもハワイも、フィジーも、あっちにもこっちにも一緒に出掛けた。GOATEXでないからこそ、ここまで長く使えるんだと思う。でもそろそろ擦り切れて水が浸透してくる箇所があったり、ゴムひもが切れていたり…
そろそろ買い替え時だよなぁ、と何度も思ったのですが、そのたびに「まだ大丈夫か」と先延ばしにしてきました。今回も、年間500㎜しか雨が降らないところへ行くのに、わざわざ買い替える必要ないかーと思ってそのまま持ってきたのですが、

…ほんっと、出番が多い。多すぎる。

来てからずっと気温は低いまま。雨はいつでも霧雨なので傘は要らない。けど濡れるのでカッパ。標高が高いところでは寒さと霧対策で必ずカッパ。船の移動には風よけに必須。さらに今回のSCBフィールドのように、頭から波をかぶるなんてことも。(仕方ないので着たままシャワーを浴びて洗った…)

普段着るものには全くこだわりがないのですが、こういった類の装備には、高いモノには高いなりの理由がある。たとえば安全性が高いとか、機能的であるとか。
でもまた一度買ってしまうと10年は使うぞ、と思うと、なかなか買えなくなったりするのです。人生のうち、あと何回カッパを新調するチャンスがあるのか?それに数々の困難をともにしてきたカッパは、もはやモノではなく、戦友というべきか…(大袈裟;)

百均なんて店が流行りはじめたのが12年位前、それ以降、買っては捨てての文化がすっかり浸透しているように見える日本において、カッパひとつでこんなに悩む私はアホなのか?でもアイツとともに数々の困難に遭ったからこそ、本当にアイツの大切さが身に染みているんだよ。

さて、どうしようかなぁ…(また迷って買わなかったり;)

<SCB採集記・完>

2011年2月1日火曜日

フィールド調査in SCB(6)

次の日。まだ見つかっていないものを探しにでかけます。

崖を降りたり上ったり、…ない。
ガラガラの溶岩が崩れたクリフの上やら、トゲだらけの植物やら、…ない。
目に飛び込んでくるたくさんの蜂の巣、…ない。

もう危険だらけのフィールドです。おまけに何もみつかりません。あらゆる意味で、これまでで一番厳しい場所でしょう。前二日間ですでに相当疲れているので、注意力も散漫になります。捻挫、擦り傷、切り傷、刺し傷、打撲、すべての「そんなに重症じゃない」ケガのオンパレードで、おまけに乾季の太陽は容赦なく照りつけてきます。

フィールドは連続三日が限界。疲れてきて注意力が落ちているのでこれ以上続けるのは危険だと判断し、諦めて今回の調査は終了にしました。

最終日の収穫は、最初に行ったLoberiaでも枯れ果てたPhysalisをみつけることができたこと。ここなら雨季になってから気軽に採集に来られそうです。(結構大きな収穫でした…)

翌日はサンプルの処理と、それでもまだあきらめきれない植物の捜索にふらりと出かけてみました。サンクリストバルには立派な国立公園のインタプリテーションセンターがあります。
ここでは島の成り立ち、地質学的・生物学的観点からの諸島の環境、ダーウィンの来訪、街の発展、歴史、文化、現在の水、食料、エネルギー、ごみなどの問題、自然保護、エコツーリズムと住民のかかわりなどについて、順を追って充実した展示がされています。
こういった系統だった教育・展示施設は、観光客にとっても住民にとっても非常に需要な情報になると思うのですが、残念ながらサンクリストバル自体に立ち寄る人は少ないですし、ましてやここまでわざわざ来る人はもっと少なく、生かしきれていないのが現状です。同じような施設をサンタクルスにも造ることはできないのでしょうか。サンタクルスではクルーズ船で周遊する観光客も必ず立ち寄るので、きっと有効に機能すると思うのですが…

それにしてもここにもあった、こういった心無いいたずら。
なぜ万物に対して敬意をもてないのか、呆れてしまいます。サボテンがこの厳しい環境でここまで育つのに、どれだけの歳月がかかっているのか思いを巡らすこともできないのでしょうか。なぜ自然を大事にできない人が、こういうところへ来るのでしょうか。不思議です。


最後に、湾が西を向いているこの地では、これまで一度も見ることができなかった美しい夕日を見ることができました。

明日も無事に過ごせますように(切実)。