2011年7月17日日曜日

Estoy en el Herbario(1)

「標本庫(Herbario)」という場所には、あちこちで採られた沢山の標本が、きちんと情報を載せて、整理されて収蔵されています。ダーウィン研にももちろん、部屋は小さいながらもガラパゴスで採られた沢山の標本が収蔵されています。

私のような客員研究員には、General collectionと言われる、いわゆる「あったことを証明するためにとりあえず採っておく」という行為は許されていません。しかし「何年に、どこに、何があったのか」という情報は、今後何百年にもわたって記録し続けていかなければなりません。そうでないと、環境の変遷を見たり今後の様々な研究へ支障をきたすからです。標本整理は地味ですが、研究の基本中の基本、継続的な科学のための重要な仕事なのです。

さて、ある日標本庫に用事があっていってみると、同僚のパティが、山のような標本に埋もれて何やら作業をしていました。

「これ、1月に2週間かけてフロレアナ中歩き回った時のCollectionの山!もう、一人で同定作業やってるから大変。二か月はかかるわぁ…」
「…手伝ってもいい?私、この仕事すごい重要だと思う。しかも、客員研究員にはできない仕事なんだよね」
「ほんとに?ほんとに手伝ってくれるの!?」

飛び上がりそうな勢いで喜ぶパティ。いやいや、こちらこそありがたいです。自分の研究対象以外の標本を触ることができるなんて。

こういう仕事はまとまった時間が必要なので調整して、約束の日。防寒着と乾燥対策(標本庫はカビや虫の発生を抑えるために寒くて乾燥しています。虫やカビにとってだけでなく、人間にとっても過酷な環境…)を万全に、作業に臨みます。


まず、パティがフィールドで採った記録(フィールドノート)と標本を照合し、

パティの経験に基づく「アタリ」を頼りに、これまで採られている標本を探します。
類似の種がないか、1000ページもある「Flora of Galapagos(Stanford Press, 1971)」を引きながら、形態形質の確認をします。
これが標本庫に籠るときの七つ道具(カメラ、時計、メガネ、水筒、パソコン、Flora of Galapagos+筆記用具)。あと、首からライトルーペを下げています。

これだ!と確信が持てたら、標本に名前を付けて…
私の仕事はここまで。あとの情報入力、台紙へ張ったりする処理は、ワーカーさんがやってくれます(もちろん訓練を受けたスタッフ)。

むしろ…私がこの子の名前、決めちゃっていいんですか?そんな作業やらせてくれるの???
一応わたくし、Doctora Botanicaなので、信用してくれているんですね。ありがとうございますm(_ _)m

でも、大学院で京都に移ったとき、関東の見慣れた植物ではないものが沢山あって、わからないと思うことが多かった。ましてやガラパゴスをや……

さらに、実は系統分類屋だといいつつ、標本の収蔵作業はゼミでやっていたものもの、自分で同定する責任ある作業はやったことがなく…

などと言っている場合ではないので、とりあえず作業開始です。


つづく。

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