2011年5月14日土曜日

$3,300の大冒険(6)

*意識朦朧~フィンチのつぶやき

暑くて日差しが強くて、日射病熱射病。水を飲んでも飲んでも脱水状態になると、さすがに意識が朦朧としてきます。
こういう時は目に入ってくるものから妄想が膨らんでくるものです。
目の前にフィンチが飛んできました。私と目が合うとびっくりして一目散に逃げていきました。

「長老、さっきうちの庭で、二本足で歩く大きな動物を見たんだ。あれはいったい何?」
「また現れたか…この島にも時々やってくる、ニンゲンという生き物じゃよ。彼らはかなりの悪さをするが、この島にやってくるニンゲンは今のところ悪さはしない。むしろ自分たちの過去の行いを反省して、この島が昔と同じように豊かな島になるように努力しているはずだ。」
「でも、うちの庭の植物を袋に詰めて持って行ったよ。やっぱり悪い奴らだよ」

…ゴメンナサイ。


*鳥の楽園

ランディングしてすぐにオイスターキャッチャーと目があったわけですが、その後もいろいろな鳥が時々現れます。
■アオメバト(Galapagos Dove、固有種)
目の周りに青いリング。見た目は派手ですが、「くるっくー」と言いながら歩くあたり、ほんとそのまんま鳩です。日本の鳩もこんなだったら、もっとかわいがってもらえるかも?昔は撲殺して食べていたそうです(また出た、破壊王ニンゲン…)。

■ガラパゴスノスリ(Galapagos Hawk、固有種)
エルニーニョでもラニーニャでもあまり影響を受けない、ガラパゴスの生態系の頂点に君臨する王者です。カッコ良すぎますが、さすがに近くで見るとその鋭い目つき、くちばし、爪、、、怖いです。向かってきたらどうしよう。

■ベニタイランチョウ(Vermilion Flycatcher、固有亜種)
オスだけがこんなに美しい真っ赤な体をしています。ニンゲン以外は男性の方がおしゃれ?いや、今どきの若者は男性もオシャレですかね。

やっぱりここは鳥の楽園でした。お邪魔しましたー。
ちなみに植物の方も、これまで図鑑や標本に記述されていなかったものが見つかったりして、満足のいくフィールドワークでした。


*星と朝焼け~遠い意識のかなた

船に戻っても、なにしろ船なのでどうすることもできず、とりあえず汗を拭いて着替えて、ピンタ島に沈む夕日を眺めました。動き出すとご飯も食べられないのを気にしてか、キャップはご飯を食べ終わるのを待って、船をスタートさせてくれました。いやはや…やっぱり船は徹底的にダメです。船泊とか、キャンプで数日から長期の調査に出ている人たちもいますが、たぶん私には無理…

遠い意識のかなた…開いた窓の向こうには、漆黒の空に素晴らしくたくさんの星がちりばめられていた…ような気がします。ああもったいない。あの星空さえも独り占めできたら、本当に幸せだろうなぁ。


*そして、冒険の終わり。

夜が明けて、外を見るとまだサンタクルス島の西側を船は走っていました。相変わらず照りつける日差し。甲板でのんびりと景色を楽しみます。薬が効いているのでしょうか、それとも感覚がマヒしてきているのでしょうか。青い空にはグンカンドリが優雅に飛び回っています。
3300の大冒険の終わり。
すでに活気のある朝の港へ到着し、船も、島も貸し切った、夢のような冒険は幕を閉じたのでした。キャップのエドアルド、料理長のジョージ、働き者のクルーたち、みんなナイスガイだったなぁ。Muchas Grasias!!!

問題は…大量のサンプルの処理ですが、今は考えずにまずはシャワーを浴びないと。

PIT採集記・完>

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