次に向かったのは、島の裏側にあたるCerro Coloradoです。霧の中を下っていくと、今度は乾燥した山々が見渡せるようになります。ほんのちょっと移動するだけでこんなにも条件が変わるあたり、この諸島の環境傾斜が面積の割に非常に大きいことがよくわかります。
ここにはサンクリストバル島に固有のCalandirinia galapagosa(CR; Critically endangered)の保全区域があります。
岩に張り付くように生育するこの種は乾季の今はこんなですが、花はとても美しく、図鑑で見たときに一目見て惹きつけられました。本当のことを言うとこの種を研究対象に入れたかったのですが、コンサベーションステイタスがCRと高めなので、いろいろと手続きが煩雑な予感がして外していたのでした。結果的にPattyが同じ発想の研究をすでにやっていて、もうすぐPublishされる論文*を見せてもらいましたが、とても興味深い結果がでていました。
*Jaramillo P. and Atkinson R. (Biotropica, in Press), Evaluation genetic diversity for the conservation of the threatened Galapagos endemic Calandorinia galapagosa (Portulacaceae)
これまでの感じで、こういう場所だとだいたい何がとれるのかわかっています。ここではPhoradendronを採取。ずんずん進んでいくと…
…行く手を、絶滅危惧種にさえぎられるという、幸せ。(アブナイ?)
これは英名をDarwin’s Shrub、学名にもダーウィンの名を冠したLecocurpus darwiniiという植物で、これまたサンクリストバル固有種です。Lecocurpus属はガラパゴス諸島に固有の属で、さらに全3種はそれぞれ1つの島ずつにしかない、非常に限られた分布を示しています。何かとんでもなく重要な生態的な特性によって、島ごとの環境に厳密に適応してしまったためにこのような分布域をとるのではないかと考えられており、形態的多様性と1種については生態的特性についてもすでに研究がなされています。
普通の人が見ると「ただの菊じゃん?」と思われるかもしれませんが、こんなにも貴重な固有種が目の前にあると、ついついニヤッとしてしまいますね。うしし。
さらにありそうなCardiospermumもさがしてみますが、C. galapagensisは見つかりません。でもこれまで見ることができなかったC. corindumを初めて発見しました!
葉っぱの感じが図鑑の写真でみたのよりも厚くて、なんか予想外です。EndemicではなくNativeだしオーナメンタルに使うとあったので、日本のフウセンカズラのようなのを想像していたのですが、ここではやはり乾燥適応しているようです。実はほんとにかわいいですね。英名をheart seedといいますが、これは種子が黒地に白いハート形模様がついているからです。スペイン語名ではなんと「huevo frito(卵の天ぷら)」といいます。たぶん果実を表現したもののようですが、卵、、、?ふんわりした実からイメージしたのかな?
予想以上にとれたのでサンプルの処理が大変です。
フウセンカズラも種子にはハートマークがあるよね~?
返信削除よく猿の顔を描いて遊んでた。
近い植物ではあるの?
さて、卵を天ぷらにしたら…???
どっちかっていうと、生卵を天ぷらにしたものっていうより
鈴カステラみたいな感じ?
写真だから感触は分からないけど、かわいいね。
鈴カステラ!なるほど。
返信削除日本のフウセンカズラも同じCardiospermum属だったはず。ガラパゴス固有のものは「Galapagos haert seed」なので、近縁種にはみなハートマークがあるのでは?
でもあの柄、なんであんな感じになるんだろう。ハートの凹み部分に維管束がついている気がするけど。
huevo frito
返信削除×卵の天ぷら
○目玉焼き
ご指摘ありがとうございます〜
返信削除でも「目玉焼き」になるとますます形態との不一致が…
スペイン語名、面白いですよね。
由来は実ではなく花からです。
返信削除あー、なるほど!
返信削除白地に黄色い蜜標が目玉焼きですね。
なっとく…